シャープ栃木 山岳部 山行報告


【山 域】栃木県 那珂川水系苦戸川本流 峠沢
【日 程】1999年7月26日
【形 態】沢登り
【メンバ】佐野英樹 神谷春仁
【コース】深山ダム−−旧三斗小屋宿跡−−大峠分岐−−旧三斗小屋宿跡
【文 責】佐野英樹(1999年7月26日)
【紹 介】那須連峰付近の沢
     はっきり言ってルートミスです。(^^;


7月26日
7:20 千本松牧場 集合
  当初の予定では、6:00集合だったが、ある事情で集合を遅らせてしまった。
  言うまでもなく、寝坊である。この時点では、この1時間の遅れが後々、山行を大きく揺さ振ることは
  知る由もなかった。
8:00 深山ダム手前
  ストラーダでアプローチを続け、板室温泉から深山ダムへ車を進めると、突然、道が完全に抜け落ちて
  しまっている所があり、工事の人に伺うと、9:00〜16:30まで通行止めになるという。
  まあ、ゆっくりと山行を楽しめば、問題ないと判断し、なんなくクリア。
  このポイントが後々、山行計画を揺るがすことになるとは・・・。
8:30 旧三斗小屋宿跡 発
  長く険しい林道をストラーダで必死に登り、ようやく沢のスタートとなる。
  やはりここでも、1時間の遅れは取り戻せないまま、沢に入る。
  そして、問題は起こった!
  ここでやっと明かすが、予定山域は、井戸沢なのである。
  しかし、井戸沢は、神谷さんは2回、佐野は1回登った経験があり、お互い気が抜けていたのか
  特殊山行だという覚悟が抜けており、遡行図も地図もあまり確認しないまま、
  どんどん本流を登っていってしまった。
  特に大きな枝沢もなく、ペースがどんどん上がっていく。
9:30 二股分岐 着
  1時間程歩き、二股にぶつかった。
  これまで大した核心部もなく、高度も全然上げようとしない。
  この地点でようやく遡行図に目を通し、この二股がどこであるか、探した。
  しかし、見たところ遡行図には、それらしき場所がない。
  そこで、今度は地図を取出し、現在地確認をすると、どうも居場所が悪い。
  しかし、けっこう明るい沢であり、ここでとどまっていても進まないので、
  高度が増す、左の沢を選び、もうしばらく様子を見る事にした。
10:00 小休止
  しばらく遡行し、若干開けた辺りで、再度現在地確認をした結果、やはり沢が違う!
  この地点で、苦戸川本流の峠沢に入っていることを確認した。
  そして、先ほどの二股は、中ノ沢との分岐であることも。
  さらには、この沢をつめて行けば、大峠から三斗小屋温泉へ通じるルートにぶつかることを
  確認し、そこまで遡行を続けることを決める。
10:10 大峠〜三斗小屋温泉ルート 着
  ほどなくすると、わかりづらかったが、ルートにぶつかり
  落ち込んだ気持ちを隠し切れないまま、下山につく。
11:10 旧三斗小屋宿跡 着
  三斗小屋を経由せずに下りるルートを選ぶと、それは、僕たちが遡行してきた沢沿いのルートであり
  落胆気分を増幅させる。
  旧三斗小屋宿跡まで戻り、再度遡行図を確認すると、なんと井戸沢の出合は、
  伏流と書いているではないか! しかも、その伏流は、ここからよく見える。
  さらにショックを受けた我々は、これからの余った時間をどうするか考えた。
  ここで、後1時間早ければ、再度、井戸沢にチャレンジできたかもしれない。
  コースタイムが約6時間なので、この時点では、遅すぎる!
  出発の1時間遅れが悔やまれる。再度トライは断念せざるをえなかった。
  あっ!16:30まで、通行止めだ。
  ここは、板室温泉まで下りなくてはどこにも行けない、まさに、陸の孤島、完全な密室状態である。
  まあ、足を使って那須岳を超えれば、問題ないのだが・・・。
  時間つぶしに三斗小屋温泉に入りに行くという手もあったが、山行のショックとルートのぬかるみを
  考えると、そういう気分になれず、しばらくは困惑状態にあった。
  我々は、途方に暮れたまま、早めの昼食をとることにした。
12:40 板室温泉 着
  何もすることのなくなった我々は、取りあえず工事現場まで戻って、様子を伺うことにした。
  朝、16:30まで駄目だといわれたばかりなのに、通らせてもらうのは少々抵抗があったが、
  緊急と装って抜けれたらラッキーと考えた。
  工事現場に近づき、車を降りて偵察に向かおうとした時、対向から車が2台通ってきた。
  そのうちの1台を停めて、工事現場は通れるか聞いたところ、13:00までは昼休みで開いているとの事。
  これは不幸中の幸い、運気の向上とばかりに、車に戻り、工事現場を超えることができた。
  その後、板室温泉であまり疲れていない体を癒したが、気分までは癒されなかった。

『総 評』今回の山行は、何度となく登っている山だから大丈夫だろうという心の緩みから
     ルートミスという大惨事を引き起こしてしまった。
     天気もよく、開けた沢だった為、悲劇にはつながらなかったものの
     特殊山行である緊張感と常に現在位置の把握という基本的な項目を侮っていたと思う。
     今後は、この山行をいい教訓にして、意識と技術力の強化を図っていきたい。



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