シャープ栃木 山岳部 山行報告


【山 域】長野県 白馬岳
【日 程】1999年8月7日 〜 8月10日
【形 態】縦走
【メンバ】佐野英樹 神谷春仁 石橋良浩 茂田井肇
【コース】8/8 猿倉−−白馬尻−−大雪渓−−白馬山荘−−白馬岳(ピストン)
     8/9 白馬山荘−−鑓ヶ岳−−天狗平−−不帰キレット−−唐松岳−−唐松岳頂上山荘
     8/10 唐松岳頂上山荘−−丸山−−八方池−−八方尾根スキー場
【文 責】佐野英樹
【紹 介】夏合宿報告
     真夏の雪とお花畑のドラマチックなコースが楽しめる。


8月7日
10:00 シャープ寮前 集合
  去年とはうって変わって晴天が続き、まさに猛暑の中での合宿となりそうだ。
  今合宿は神谷さんの車(ルネッサ)で、1日かけてアプローチする事にした。
  
11:00 茂田井家 着
  全員集合し、いざ白馬へ。
  
20:00 猿倉 着
  猿倉専用駐車場に車を停め、その隣にテントを張る。消灯。

8月8日
6:00 猿倉 出発
  夏シーズン真っ盛りということで、予想通りの大勢の登山客だ。
  中でも近畿日本ツーリストの団体は、50人を超える大所帯でかなり邪魔だった。


7:05 大雪渓 着
  大雪渓を目前にして、各団体が軽アイゼンを着け始める。
  今回、軽アイゼンを持っていったのは神谷さんだけだ。
  少々不安を残したまま登り始める。
  大雪渓に入ると地面に残る雪からの冷気でかなり涼しい。
  徐々に斜度がきつくなるとともに疲れも増していったが、
  大雪渓の素晴らしい展望に疲労感も紛れる。

10:00 小雪渓 着
  ランチ。初めての試みのカップラーメンを食べた。
  うまそうに思えてTRYしたが、汁を捨てるわけにはいかず、全部飲み干し喉が渇いた。

10:50 お花畑 着
  ミヤマキンポウゲが咲き乱れ、気分はハイジかヨーデルかのはずが、
  全員バテバテでそれどころではなかった。

12:25 白馬山荘 着
  やっとの思いで白馬山荘到着。
  全員、基礎体力の無さを、まざまざと思い知らされる。
  それにくらべて、中高年層の体力には驚かされた。しょぼん・・・
  とりあえずチェックインし、寝場所を確保してピストンへ向う。

13:40 白馬岳山頂 着
  空身でオレンジだけ持ち、ピストンする。
  大したことのないピストンで、しかも空身だが、歩き方が急勾配の時と変わらなくなってしまった。
  これ以上速く歩けないようである。
  ピークでは、後から登ってきた、近畿日本ツーリストが場所を占領した。
  添乗員のお姉さんも仕事だからしょうがないが、もうちょっと他の登山客のことも考えた方がいいと思う。

14:00 白馬山荘 着
  ピストンを終え、本日の行程終了。
  何はともわれ、レストランで生ビールを飲んだ。うまい!この為に登ってきた気がする。
  ここのレストランは、スカイプラザというだけあって、景色が一望でき、しかもとても奇麗である。
  どこかのスキー場にでも着た感じである。
  ここで個人個人、持ち金をチェック。なんとぎりぎりであることがわかった。
  それにしても、夏の北アルプスは、お金さえあれば何にもいらないといっていいほど、
  何でも揃う。重い荷物を頑張って持ち上げるのが馬鹿みたいに思える。
  うまいビールを飲んで一服したら、早々に夕飯の準備にとりかかった。
  晩飯はカレーを作った。じっくり煮込み、うまかった。やっぱりカレーに限る。

21:00 消灯
  1500人は収容できるといわれている白馬山荘のたこ部屋で寝た。
  本日は宿泊人数が多いらしく、2人分に3人配置された。まあ、それでも寝るだけなので、
  十分なスペースだった。

8月9日
6:00 白馬山荘 出発
  4:00に起床し、早々に朝食の準備にとりかかる。
  日の出を迎えると、朝焼けと雲海でまさに幻想的な景色である。
  あまりの奇麗さにしばし写真タイムとなる。
  左に、八ヶ岳、富士山、南アルプスが遠くに伺え、右に、剣岳、立山、奥に、槍ヶ岳が望める。
  最高な景色だ。



7:15 鑓ヶ岳 着
  稜線歩きで傾斜もそれほどきつくなく、2日目ということもあって大分体が慣れてきたせいか、
  快適に歩く。天気もよく、景色も良い為か、みんな気分もHighである。
  本日の行程上、杓子岳はトラバースした。後ろには、白馬岳が奇麗に見えた。
  鑓ヶ岳ピークではこれから行く厳しい道のりがくっきり見えた。
  本山行のメインイベント且つ危険地帯の不帰キレットである。

7:50 村営 天狗山荘 着
  残雪があり、池もあり、ちょっとした箱庭みたいになっていて、とても奇麗なところである。
  しばしの休憩をとる。それにしても、水がうまい。
  
9:30 天狗の大下り 着
  天狗ノ頭からなだらかな稜線を下りていくと、天狗の大下りに着いた。
  ここは、不帰キレットまで、一気に300m急降下が続く。
  見下ろすとほぼ垂直に下降してるかのごとく見え、まさに肝っ玉が縮む思いであった。
  いままで続いたなだらかな稜線が、ここで、途絶えているように見える。
  下りはガレて滑りやすく、ところどころ鎖場もあり、この山行で一番恐かった。
  下の写真は大下りを下りきったところから見上げた写真です。
  下からみると大したことのない下りに見えるのが残念。(^^;;

10:10 不帰キレット
  急下降がやっとの思いで終わり、最低鞍部に到着したころには、もう足がガクガクしていた。
  比較的安全なところを選び、ランチにする。
  日光が照り付けており、ただ暑い中での食事となり、食欲もわかない。
  これからの不帰ノ嶮と呼ばれる難所を考え、長めの休憩とするが、予定時間より遅れをとっている。
  このあたりの写真が少ないのは、もちろん、みんなばてていて、撮影どころではなかったからだ。
  
10:30 不帰ノ嶮
  不帰ノ嶮は、不帰一峰、二峰、三峰と3つの岩峰が並んでおり、特に、二峰はこのコースの核心部だ。
  鎖やはしごの連続で、二峰直下のはしごは風の強い岩場の上に上がる最も危険な場所であった。
  後ろからは、健脚のおばさんや、空身同然のカップル(2,3組はいたかな)が、
  ルートの確保か、ぴったりくっついてきて、我々をあおってくる。
  我々は、食後の急激な運動のせいか体力のなさのせいか、全員ばてばてになるし、
  文字通り、本山行で、最もきつかった。
  
13:30 唐松岳 着
  ただひたすら、もくもくと登り続け、もうだめかと思ったところで、唐松岳のピークに到達した。
  キレット通過から、辺り一面ガスに見回れ、視界がほぼゼロで、どこまで上がったかがわからず、
  気付けば着いたという感じだった。
  ピークでは桃缶を食べた。ものすごくうまかった。
  みんな疲れて笑みすら浮かばなかったが、さすが、写真を撮る時だけは、笑ってる。

14:00 唐松岳頂上山荘 着
  ピークからほどないところに、唐松岳頂上山荘がある。
  チェックインし、部屋に入ると、まさにたこ部屋で、しかもかなり狭い。
  本来、山荘とは、こんなものかもしれないが、初日が白馬山荘で広々していたので、
  ショックも大きかった。
  早々に個装整理をすませ、恒例の生ビールを飲みに喫茶ベルグに行った。
  このころになると、ガスがところどころ飛んだ。後立山連峰を眺めながらのビールは格別であった。
  夕食ではちょっとした事件が起きた。いわゆる“米がない”事件である。
  茂田井君所有の米が忽然と消えてしまったのである。帰ってから気付いたらしいが、
  ザックの奥深いところに潜んでいたらしい。
  しかし、それからのフォローがよかった。
  キャベツとコンビーフで十分うまい夕食となった。
  
21:00 消灯
  消灯間近になると、すでに寝ている人が増え、いびきがうるさい。
  しかも狭く、寝返りも打てない程だった。
  佐野は殆ど眠れなかった。

8月10日
6:00 唐松岳頂上山荘 出発
  朝からガスが多く風も強い。長いは無用と思い、さっさと出発した。
  下りの途中で、雷鳥の親子に遭遇した。やはり雷鳥に逢わないと北アルプスに着たという気がしないので
  ちょっとほっとした。
  相変わらず、我々は下りがはやい。どんどん高度を下げていった。
  
7:00 八方池 着
  八方池で1本とった。池には鳥居があり、廻りは大きな山並みがそびえ(上空はガスってみえなかったが)、
  ちょっとした箱庭のようで、美しい風景だった。


8:00 八方尾根スキー場 着
  スキー場まで着くと、ハイキング客が大勢いた。
  ドロドロな格好してるのがかなり恥ずかしい。
  大きな荷物を持って、リフトやロープウェイで下るのも少々気兼ねしたが、
  文明の力は使うとの全員の一致で、スキー場を見ながら下った。
  スキー場から猿倉まではタクシーを使った。タクシー代金がなかった我々は
  猿倉の駐車場まで着くと、即効でルネッサから残置金を取り出し、支払った。
  その後、近くの、白馬八方温泉 小日向の湯に浸かった。

『総 評』初心者から上級者まで楽しめる白馬。宿泊施設が充実しており、
     気軽なハイカーでも安全に楽しめる。
     不帰ノ嶮は、天候が悪い場合はお勧めできない。
     下界周辺は、さまざまな温泉があり、すばらしいところであった。



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